バーメルト任期最後の定期。2024年 札響東京公演

2024.02.04 (Sun.) 23h05

バーメルトは楽器ごとの強弱のバランスを大変気にされる方だ。主に言われるのは強弱だから、それ以外は自由といえば自由だし、自分たちで音楽を作る姿勢がなければ非常に困る状況になる。事細かに、綿密にリハーサルしたのかと思われがちかもしれないが、現実は異なる。彼のバランス感覚というのは音色や統一感というところで非常に高尚な響きを目指しているのだと感じる。それを一番強く感じたのは、去年フランクやラヴェルといったプログラムを取り上げた時。強くしなやかで、流麗で美しく、品格のある色彩だった。今回のブルックナーも彼の路線を団員全員で共有できたのではないかと思う。

色彩は音色(倍音)の重ね合わせ方や音量のバランスで作られるものだが、日本国内では正直そういう作り方をしている団体は非常に少ない。色彩感についてはジェラール・プーレから長年習ってきたことはソロだろうとオケだろうと通用するものだと身をもって確信してきたが、やっと実践に近づいてきていて嬉しい。



・サントリーホールの音響について
サントリーはキタラやミューザなどの先駆けという意味においてもとても価値のあるホール。
昨年もこのブログで言及したが、サントリーホールの音響は、瑞々しく輝かしい響きであり、視覚以上の空間の広がりを感じさせてくれる。この音響体験は何にも代えがたい。ただ、この特色を活かすには弾き方にかなり工夫が必要だと感じる。札響のホームである札幌コンサートホール(キタラ)とはホールの特性がかなり異なるため、オーケストラとして年一回だけここで演奏するというのは、個人的には前もって心と体の準備と切り替えが必要で、プレッシャーがかかるが、同時に楽しみの一つともいえる。弾き方以前に大切なことは、音の聴き方とイマジネーションの作り方。

なお、このホールは聴く場所によって聴こえ方がかなり変わる。僕が試した限りにおいて、ここは一階前方席がベスト。あとは2階席サイドの舞台寄り。左右のバランスが多少偏っても明瞭さと音の艶があるし視覚的にも面白いのでおすすめ。

クラシック音楽専用のホールはいわば”第二の楽器”。楽器の魅力を引き出し、味方につける。これは演奏家の責務であり、醍醐味だ。

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