札響定期 東京公演2023、サントリーホールの音響について

2023.02.12 (Sun.) 13h13

札響東京公演(サントリー定期)にご来場いただき、ありがとうございました。
自分は自分の理想のオケを作り上げるために命の全てをかけています。
いつも通り、演奏に全てを注ぎました。
残念なことに、シューベルト以外の全曲、降り番が回って来ました。東京公演で悲しいことこの上ない。
G.P.聴きましたがみなさん大変素敵でした。


2月9日(木)19時
マティアス・バーメルト(指揮)
カール=ハインツ・シュッツ(フルート)
吉野 直子(ハープ)
武満 徹/雨ぞふる
モーツァルト/フルートとハープのための協奏曲
休憩20分
シューベルト/交響曲「ザ・グレイト」


・第二の楽器としての音楽ホール


サントリーホールの音響は健在でした。実際の何倍もの広さを感じさせてくれる、瑞々しく輝かしい響き。思わずうっとりしてしまう。笑
ただ、私たちが普段演奏している、札幌コンサートホール(キタラ)とは構造が異なるため、発音や解像度、強調する倍音の域などのパラメータをかなり変える必要があります

サントリーの舞台上で感じるフィードバックは凝縮して聴こえます。アンサンブルは幾分し易くなりますが、ある特定の音色や音の解像度に関しては、舞台上の聴こえ方は全く当てになりません。しかし高音域はほぼそのまま抜けていきます。この辺りの癖は強い。

クラシック音楽専用のホールはいわば”第二の楽器”です。楽器の魅力を引き出し、味方につける。この魅力は演奏家の責務であり、醍醐味であると自負しています。
個人的にはこのホールは大好きです。


・伝統の本質は革新の連続である


現代のオーケストラは、解釈や流派の多様化と様々なジャンルとの相互作用によって、オケとソロの垣根というものは徐々に薄れてきています。言い換えれば奏者一人一人のレベルが急激に上がっているとも言えます。ソリストとして経済的に自立することは、現代では弾けるだけでは困難です。ベルリンフィルは各国のオケのコンサートマスターやソリストを集めたオーケストラですが、現代では実態として同様のオケが増えています。ソリスティックな要素を持つ人たちが集まることでできる音楽というものがあり、これは現代ならではの、モダンな方向性の一つだと思います。

私にとっての理想の西洋音楽は能動的にコミュニケーションし、足し算していくものです。アンサンブルにおいては首席のみならずTuttiでも同様ですし、いわゆるドイツ音楽においては思想的にも特にその色合いは濃いものが多いと考えています。

オーケストラにおいて、各々の役割とその在り方は非常に流動的だし、そうあってほしいと願っています。基本構造の一部として、パッセージ、楽器、パートごと、席次ごとの役割と持ち場はありますが、それは初歩的な話なのですよね。役割はあくまでも既存の手段であり、目的は全員で一つの音楽を作り上げることです。

私は、音楽の方向性や理想に少しでも近づけることができる方法を限界まで探っています。

札響は、私を受け入れ一緒に新しい世界を切り開いていけている。このような日本のクラシック界の明るい未来を信じられる貴重な楽団だと思います。


・蛇足


ところで、私は跳躍の音程などで音が先に見えることがあります。アンサンブルでも、木管などは視覚では完全に見えないが他の楽器の呼吸や入るタイミングが目の前に見えることが多いので合わせやすいです。実際に何か見えるわけではないのですが...どう表現したら伝わるのか分かりません。。特に、意思のある演奏なら、一瞬先の時間から、音が向かってくるのが感じられます。未来ではないはずですが、先から来る音に合わせるとザッツが合うので、先の時間から来ていると認識するほかありません。

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